第68章 おじいちゃん、詩を暗唱してあげるわ!

寺田凛奈は石丸和久に言った。「おばさん、この幼稚園に決めましょう。私が芽を連れて試してみます。」

そして立ち上がって出て行き、電話に出た。

電話から年老いた厳格な声が聞こえてきた。「どこにいる?」

彼女の漢方医学の先生、三原御医だった。

この人の真面目で厳格な性格を思い出し、寺田凛奈は思わず背筋を伸ばした。「先生、私は京都にいます。どうしたんですか?」

三原御医はゆっくりと口を開いた。「ああ、寺田家があなたを探しているよ。病気を診てほしいそうだ。」

寺田家、寺田亮?

寺田凛奈が行くと言おうとした時、三原御医が口を開いた。「行く必要はない。彼は病気ではない、ただ生きる気力を失っているだけだ。」

「……」

「体の器官が衰弱している。今はあなたの莫愁丸で命をつないでいる。たとえあなたが行っても、彼に生きる意志を持たせることができるのか?」