「あの子のことは父が処理したの。父は私に何も言わなかったから、私は知らないの……」
寺田佐理菜は泣きながら話していたので言葉が不明瞭で、離れた場所にいる人には聞き取れなかった。
寺田凛奈は眉をしかめ、それを見た寺田佐理菜は怖くなって口を開いた。「本当に知らないんです!誓います、もし知っていたら、顔にあばたができるようにしてください!うううう……」
彼女は小さい頃から美しさを大切にしていたので、このような誓いを立てるということは、本当に知らないということだった。
寺田凛奈は失望の色を隠せなかった。
彼女はこれ以上時間を無駄にしたくなかったので、立ち上がってゆっくりと外に向かった。
藤本凜人の横を通り過ぎる時、寺田凛奈は先ほど手を出してしまったことで藤本凜人の面子を潰してしまったことを思い出した。