第14章 ナルシストは病気、治療が必要

一流ホテルは管理が厳しく、エレベーターもカードをスキャンする必要があった。

寺田芽の部屋は最上階ではなかったが、カードをスキャンしてもエレベーターのボタンを押すことができなかった。

彼女は不機嫌そうに口をとがらせ、少し考えてから、まず38階の自分の階に戻り、そこから階段を使うことにした。

しかし、エレベーターを出るとすぐに寺田凛奈に出くわした。

寺田芽は瞬時に湧き上がる小さな思いつきを押し殺した。

お父さんは明日でも会えるけど、ママは明らかに気分が落ち込んでいて、彼女を必要としているように見えた!

寺田凛奈は数人の私立探偵に電話をかたが、当時の手がかりは全く見つからなった。結局のところ、寺田佐理菜さえも息子の行方を知らないのであれば、真相は寺田さんだけが知っているのかもしれない。