一流ホテルは管理が厳しく、エレベーターもカードをスキャンする必要があった。
寺田芽の部屋は最上階ではなかったが、カードをスキャンしてもエレベーターのボタンを押すことができなかった。
彼女は不機嫌そうに口をとがらせ、少し考えてから、まず38階の自分の階に戻り、そこから階段を使うことにした。
しかし、エレベーターを出るとすぐに寺田凛奈に出くわした。
寺田芽は瞬時に湧き上がる小さな思いつきを押し殺した。
お父さんは明日でも会えるけど、ママは明らかに気分が落ち込んでいて、彼女を必要としているように見えた!
寺田凛奈は数人の私立探偵に電話をかたが、当時の手がかりは全く見つからなった。結局のところ、寺田佐理菜さえも息子の行方を知らないのであれば、真相は寺田さんだけが知っているのかもしれない。