寺田凛奈が入ってくると、彼女は周りを適当に見回した。
瀬戸門は京都の中心に位置している。
これほどの一等地に、これほど広大な敷地を持つ武館を構えていること自体、瀬戸門の底力の深さを物語っていた。
武館の内部――
広い道場では、瀬戸門の弟子たちが複数の班に分かれ、
「ヘイッ!ハッ!ヤァーッ!」
気合いのこもった掛け声を響かせながら、熱心に武術の稽古に励んでいた。
――どこが「衰退寸前」だって?
まるで「瀬戸門がもうすぐ廃れる」と嘆いていた瀬戸さんの言葉が冗談のように聞こえるほど、活気に満ちた光景だった。
だから、彼が今また自分をだまそうとしているのを聞いて、寺田凛奈は耳をほじった。「まず秘密が何なのか言ってください。それから決めます」
瀬戸さん:「……」
他の者たちは皆、頭を下げ、ひざまずいてまで弟子入りを願うというのに――
なぜ、俺が伝承者を見つけるのはこんなにも難しいんだ!?
やっと見つけた、あの女の娘。
天賦の才を持っているというのに――
こいつは武術の鍛錬よりも、ただ寝ることばかり考えている!!
幸い、この二人の子供たちは彼女の良い骨格を受け継いでいる。
瀬戸さんの視線が芽の上をさまよい、そして武堂にいる建吾のことを思い出した。
実際、瀬戸門の武術は男の子に適していることは事実だ。結局、凛奈のような変態はもう現れないだろうから。
しばらく考えた後、彼は突然、建吾を弟子にする方が得で安定しているのではないかと気づいた。
そこで瀬戸さんは咳払いをして、「まあいいや、もう言わないことにする」
「……」
寺田凛奈はこうなることを予想していた。彼女は瀬戸さんに付き添って後ろの居住スペースに向かった。
瀬戸さんは、白い武道服を身に纏っていた。
年齢を重ねてもなお、その身体は引き締まり、無駄な肉が一切ない。
その眼光は鋭く、精神はまるで若者のように活力に満ちていた。
粗野なようでいて、その声には繊細な知性が滲んでいる。
――そうでなければ、武術界の頂点に立つ存在にはなれなかっただろう。
二人が後院に足を踏み入れると、瀬戸さんはじっと彼女を見つめた。