第48章 誰を見下してるの?

まだ部屋に入る前から、中から瀬戸さんの声が聞こえてきた。「しっかり立って、頑張れ!これが基本だ。我々瀬戸門が小坂門より優れているのはここだ。武術は一朝一夕では身につかない。ゆっくりと基礎を固めていく必要がある……」

寺田凛奈がドアを開けて入ると、「寺田芽」がいつの間にか男性用のスポーツウェアに着替えて、馬歩をしているのが見えた。

瀬戸さんは彼女に背を向けて話し続けていた。「私を師匠と仰ぐなら、これからは私の言うことを聞かなければならない。毎朝起きたら必ず30分間馬歩をすること。お前の母親はあまりにも怠け者で、小さい頃から言うことを聞かなかった。お前は彼女を見習ってはいけないぞ……」

ドアの方を向いていて凛奈に気づいた藤本建吾は「……」

彼は唇を噛んで、体を起こした。