第59章 寺田凛奈のところに行けば、息子と娘の両方が揃うんです!

「……」

オフィス内は静まり返っていた。

特別秘書の志村は眼鏡を直すと、ドアを閉めに行き、秘書室のスタッフたちの好奇の目を遮った。それによって、みんなの心の中で猫の爪のような好奇心が掻き立てられた。

藤本悠佑は弱々しく誘いかけた。「兄さん、想像してみてください。柔らかくて、もちもちして、かわいい娘さん、欲しくないですか?」

彼がそう描写すると、藤本凜人の頭の中に突然、建吾がバービー人形で遊んでいる姿が浮かんだ。細長い目が一瞬厳しい光を放ち、警告を含んだ口調で言った。「何をしようとしているんだ?」

まさか建吾に何か天に逆らうような手術をさせようとしているのか?

藤本悠佑は怖がって首をすくめ、言葉を詰まらせながら言った。「兄、兄、兄さん、本当に、娘さんができるんですよ!寺田凛奈のところに行けば、息子と娘の両方が揃うんです!」