第127章 婚約を迫る?

寺田凛奈がホールに入るやいなや、誰かが近づいてきて、丁重に尋ねた。「寺田さんですね?」

  寺田凛奈は軽く頷いた。

  その人はすぐに口を開いた。「こちらへどうぞ。」

  寺田凛奈:?

  藤本凜人が個室で話をするのに、こんなに大げさにする必要があるのか?

  彼女は疑問に思いながらスタッフの後ろについて行った。数歩進むと、地面に赤い絨毯が敷かれており、両側には多くの風船や花が飾られていた。一見すると、非常にロマンチックだった。

  周囲では既に人々が彼らを指さして話し合っていた。

  寺田凛奈は口元を引きつらせて言った。「間違いじゃないですか?」

  スタッフは名刺を確認して言った。「寺田凛奈さんですよね?」

  「はい。」

  「では間違いありません。」スタッフは笑顔で言った。「こちらへどうぞ。」

  寺田凛奈:?

  彼女は躊躇しながらスタッフの後ろについて行き、尋ねた。「どういうことですか?」

  スタッフは口を開いた。「誰かがあなたのためにサプライズを用意しています。今はまだ言えません。」

  藤本凜人がサプライズを用意した?

  寺田凛奈の最初の反応は、この人はまた調子が悪くなったのか?というものだった。

  そして次に、自分がこのサプライズを少し期待していることに気づいた。

  寺田凛奈がいろいろと考えているうちに、既に廊下の反対側に到着していた。曲がり角を曲がると、花束を手に持った人が立っているのが見えた。

  男性はスーツを着ており、まあまあハンサムに見えた。彼は真っ直ぐに彼女の前に来ると、すぐに片膝をつき、口を開いた。「寺田さん、僕と結婚してください!」

  寺田凛奈は一瞬頭の中が「???」で一杯になった。

  これはどういう状況?

  そして高岡悠彦の両側には、彼の友人たちが立ち並んでいた。今泉唯希も群衆の後ろに立っていた。この瞬間、みんなが拍手し始めた。「結婚して!結婚して!」

  この騒ぎに、周りの人々も注目し始めた。みんな足を止めて周りに集まり、一緒になって煽り立てた。「結婚して!」

  寺田凛奈は一瞬さらに混乱した!

  彼女は一歩後退し、眉をひそめて言った。「人違いじゃないですか?」