藤本凜人の足が止まった。
寺田凛奈と藤本建吾も立ち止まった。
三人は同時に心の中で思った:幸い芽を武道場に置いてきた。さもなければ家族四人が顔を合わせることになり、その時どうすればいいか分からなかっただろう。
彼らは向かい合って見つめ合っていたが、みな心に後ろめたさがあったので、少し気まずかった。
藤本凜人が先に我に返り、口を開いた:「寺田さん、どうしてここに?建吾に会いに来たの?」
寺田凛奈はほっとして、「うん」と答えた。
藤本建吾は口角を引きつらせた。今日はママと一緒に行けそうにない。
藤本凜人も少し沈黙した後、尋ねた:「じゃあ、建吾を君と行かせて、渡辺家で遊ばせる?」
藤本建吾:?
暴君はいつも彼を厳しく監視していて、どこに行くにも大勢のボディーガードがついていた。なのに、今突然ママと一緒に帰らせるなんて。