第204章 私が行きます!

数人が一斉に振り向くと、少し太めで体格の良い女性が大股で入ってくるのが見えた。

  そして彼女の後ろには、小柄な体が彼女に完全に隠されていた。心海のお母さんが部屋に入ってきて初めて、みんなは後ろの人物を見ることができた。

  高岡悠彦は彼女を見るや否や、目を輝かせた。

  女性は切れ長の瞳を垂れ下げ、全身から退廃的な雰囲気を漂わせていたが、それでいて顔立ちは艶やかで、肌は白く、肌から冷たい光を放っていた。

  そして、先ほど話し始めたのが彼女だった。

  渡辺光祐も明らかに寺田凛奈を見ていた。傲慢な目つきに驚きの色が浮かび、顎を引き締めて、すぐには彼女に反論しなかった。

  むしろ秋田悠央が眉をひそめた。「君は誰だ?何をしているんだ?」

  心海のお母さんは先ほどの状況を思い出し、やはり腹が立った。すぐに口を開いた。「この方は心海の命の恩人で、渡辺家の寺田さんです。」