郊外の別荘にて。
福山さんが夕食の準備をしていると、突然2階から悲鳴が聞こえてきた。驚いて手が震え、包丁が指にあたりそうになった。
彼女は包丁を持ったまま2階に駆け上がり、慌てて尋ねた。「奥様、どうしたんですか?何があったんですか?」
佐竹璃与はソファに寄りかかっていたが、今は体を起こし、信じられない様子で自分のスマートフォンを見つめていた。福山さんが入ってくるのを見て、ぼんやりと尋ねた。「今日、今泉唯希が言っていた凜人の彼女の名前は何だったっけ?」
福山さん:「寺田凛奈さんですよ!」
佐竹璃与はゴクリと唾を飲み込み、再びLINEの画面を見下ろした。「私は寺田凛奈です」という5文字がはっきりと表示されていた。
彼女は目をこすり、その5文字を見て、思わずまた悲鳴を上げた。「あっ!」