第266章 青い妖姫のドレス

藤本家の駐車場には、高級車が集まっていた。

  世界限定モデルも少なくなく、この1、2千万円の車はその中に置かれると、本当に目立たなかった。

  だから最初は誰の車か気づかなかった。

  寺田雅美がホールの方へ歩いていると、数歩進んだところで突然呼び声が聞こえた。「寺田さん!」

  振り返ると、石丸慧佳が富樫佑咲を支えながら近づいてくるのが見えた。

  石丸慧佳は富樫佑咲に何か言うと、彼女から離れて雅美の方へ歩いてきた。近づくと、雅美のドレスに触れて笑った。「そうか、このドレスをあなたが借りていたのね!あなたにとてもよく似合っているわ!今夜はきっと一番の美人になるわよ!」

  彼女の声が少し大きかったので、周りの人々が振り向いてしまった。

  寺田雅美は少し不快になった。