第278章 誰が彼女に強力な実家がないと言った？

石丸慧佳の声が大きすぎて、宴会場にいる全員の目が向けられた。

藤本凜人は常に寺田凛奈の様子を見ていたので、すぐにこちらの争いに気づき、急いで大股で近づいてきた。

寺田凛奈はすでに杏色の目を細めており、冷たい瞳には怒りが満ちていた。「何ですって？」

母親の愛情を感じたことはなかったが、母親が彼女に命を与えてくれたのだから、他人に母親を侮辱させるわけにはいかなかった。

石丸慧佳の声が、はっきりと会場中に響き渡った。「何よ、彼女がもともと不品行だったのに、人に言わせないつもりなの？当時誰もが知っていたわ。彼女が寺田さんを裏切って、他の男と駆け落ちしたことを！きっとその相手にも捨てられたんでしょうね？だからお金が好きな男を見つけて尻拭いをさせたのよ。」

「諺にもあるでしょう。上が正しくなければ下も歪む。母親が婚前妊娠で、娘も同じ。あなたも他の不良と子供を作ったんでしょう？でもあなたのほうがお母さんより強いわね。少なくともあなたの尻拭い男は藤本さんだもの！」