この言葉に、寺田史之助は少し驚いた。
秋田花泉は驚いて尋ねた。「読めるの?」
寺田凛奈が頷き、話そうとしたその時、寺田雅美の声が聞こえてきた。「二兄さん、私を呼んだ?」
寺田史之助は彼女を見るや否や立ち上がり、パソコンを持って彼女のところへ行った。「雅美、早く来てこのゲームを見てくれ。どうなっているんだ?ソフトウェア部全体の技術者たちが問題を見つけられないんだ。もし問題が見つからなければ、このゲームはもうリリースされているから、プレイヤーが全部流出してしまうよ!」
寺田凛奈:?
彼女は躊躇しながら振り返ると、秋田花泉が説明するのが聞こえた。「雅美は会社のソフトウェアコンサルタントみたいなものよ。何か問題があって、技術者たちが解決できないときは、彼女に助けを求めるの。」
秋田花泉はここまで言って、口をとがらせた。寺田雅美と寺田史之助がすでにパソコンを持って脇に行ったのを見て、思わずため息をついて説明した。「凛奈、私の心は苦しいわ。」
凛奈?
寺田凛奈は眉を上げた。秋田花泉とそこまで親しくなったとは思っていなかったが、秋田花泉の物憂げな様子を見ると、それを指摘するのも気が引けた。結局何も言わず、聞き役に徹することにした。
秋田花泉はため息をついた。「私たち秋田家は寺田家ほど裕福ではないけど、それでも金持ちの家庭よ。両親は私を手のひらで転がすように大事に育ててくれた。寺田家との縁談で何か得をしようとも思っていなかったわ。私と史之助は自由恋愛だったの。寺田家のこの世代の権力者、長男の寺田真治も公平な人で、史之助に縁談を強制したりしなかった。これを聞いたら、私はとても幸せだと思うでしょう?」
「……」
寺田凛奈は、幸せなところが聞こえてこないと言いたかった。唯一順調なのは結婚の自由くらい?
彼女が考えている間に、秋田花泉はまたため息をついた。「でも、誰が知るでしょう。私が寺田家でどんな日々を過ごしているか……」