第208章 エンジェルキス

藤本凜人の車は、実際に曲がり角で彼女に突っ込もうとしたとき、寺田凛奈はすでに気づいていた。

  プロのレーサーとして、この程度の警戒心はあった。

  一つの交差点を見逃した時点で、彼女は道を間違えたことに気づいた。

  そしてエンジン音を聞いて、秋田悠央が何を企んでいるかわかったので、彼女は唇を曲げ、突然アクセルを踏み込んで速度を上げた。

  秋田悠央が彼女に衝突したい?

  ふん、追いつけるものなら。

  彼女が「シュッ」と一瞬で通り過ぎた時、「ドン」という大きな音が聞こえ、2位と3位が衝突してしまった!

  そして秋田悠央の車が宙を舞い、生死は運命に委ねられた。

  3位のブラックチームの車は、外見上はかなりの損傷を受けているように見えたが、それでも彼女の後ろにぴったりとついてきて、減速する気配もなかった!