寺田凛奈は他人のことをあまり気にしない人で、親しい人以外にはめったに関心を示さなかった。
秋田花泉は彼女の義理の姉にすぎず、二人はまだ知り合ったばかりだったので、彼女は他人のプライバシーを詮索するのが嫌いだった。
そのため、彼女は足を少し止めただけで、部屋の方へ歩いて行った。
数歩進んだところで、突然真由美の部屋から声が聞こえてきた。彼女は眉をひそめ、最初は行くつもりはなかったが、今日連れてきたのが藤本建吾だということを思い出した。
寺田芽だったら、あの子は決して嫌な思いをしないだろうから、放っておいても大丈夫だった。
しかし、藤本建吾は生まれつき敏感で、彼の幼少期の経験を知った後、彼女は海外の有名な心理学者数人に連絡を取り、相談した結果、建吾のこの症状は生まれたばかりの時に捨てられたことによる心理的トラウマだということがわかった。