第302章 愛の言葉~

寺田凛奈は手で名簿を下に引っ張った。

  ハッカー連盟が設立されてから、わずか十数人しかいないが、世界トップクラスのハッカークラブとして、ここでは保護さえ受けられる。

  Qとして、寺田凛奈はYの実力が強大で、この集団を守れることしか知らなかった。

  外界では、ハッカー連盟は彼女が創設したと噂されているが、実際はYが創設したのだ。

  二人ともハッカー連盟にいるが、業務はすべてYが処理しており、彼女は毎日サボって過ごし、Yとは接点がなかった。

  二人は名声こそ並んでいるが、実際に競い合ったことはなかった。

  普段このような事は、ほとんどYの方で適当に処理し、毎年最も優秀な一人を選んで入会させるのだが、今年、彼女がそこで名簿を見ていると、Yが突然メッセージを送ってきた:【これを選ぶ?それとももう一つ?】

  彼は二つの名簿を送ってきた。

  そのうちの一つは、寺田雅美だった。

  寺田凛奈はさっと一目見ただけで、寺田雅美のモニタリングシステムが確かに静かで気づかれにくく、高水準のプログラミングだと分かった。

  寺田凛奈は事を処理する際、個人的な感情を入れないのが常だった。

  しかし、さっき寺田史之助が言っていた、寺田雅美のソフトウェアに問題が発生し、制御不能になって近くの人のコンピューターにハッキングしてしまったことを思い出し、少し考えた後、寺田雅美の名前を消した。

  このような初歩的なミスを犯すようでは、たとえ水準が高くても採用できない。

  彼女は別の人をYに送り、理由を説明しようとしたところ、Yはさっそく返事をした:【了解。】

  この素っ気ない態度に、寺田凛奈は言葉を失った。彼女は眉を上げて尋ねた:「なぜか聞かないの?」

  Y:【君が適当に決めればいい、僕は忙しいから。】

  寺田凛奈は思わず聞いてしまった:【何が忙しいの?】

  結局のところ、Yはもう長い間仕事を引き受けていなかった。彼女はずっと、Yも彼女と同じようにかなり怠け者だと思っていた。それなのに相手は忙しいと言う?

  もしかして最近、彼女の知らない大きな仕事を引き受けたのだろうか?