寺田凛奈:?
彼女は足を止め、信じられない様子で藤本凜人を見た。
藤本凜人は何かに気づいたようで、目の端で一瞥すると、その凛とした女性が自分からそれほど遠くないところにいるのを見て、姿勢を正し、穏やかに言った。「人違いですよ」
スタッフ:??
藤本凜人はそう言うと、振り返ることもなく寺田芽を抱いたまま振り返り、そして寺田凛奈を見つけると、眉をひそめた。「芽、あの人の体つき、ママにそっくりじゃない?」
寺田芽は大きな黒ブドウのような目をぱちくりさせ、「似てるんじゃなくて、ママだよ!」
藤本凜人:「ママの腰はそんなに細いの?」
寺田芽は首を傾げて:「そうだよ!毎日抱きしめてるから、よく分かるの!」
藤本凜人:「はぁ、だからママだと分かったんだね。僕は分からなかった。ママの腰に触ったことがないから」
「……」
寺田芽は藤本凜人をしばらく見つめた後、やっとため息をついて言った。「パパ、かわいそう〜」
寺田凛奈:「……」
今日の藤本凜人は黒のカジュアルウェアを着て、黒いマスクをしていた。一方、芽の顔には銀色の翼の半分のマスクをつけていた。
家族なんだから、マスクをつけたぐらいで分からないはずがない。
三人はすぐに一緒になった。
寺田凛奈は尋ねた。「どうして芽をここに連れてきたの?」
海外にいた時、彼女は毎回喧嘩をする時に芽に目を閉じさせていた。子供に悪い影響を与えないようにするためだ。
武術大会で、台の上の人たちは激しく戦っている。芽にこんなものを見せていいの?
この言葉を聞いて、寺田芽はすぐに口を開いた。「ママ、パパに頼んで連れてきてもらったの!パパが電話で武術大会があるって言うのを聞いて、ちょっと見に来たんだよ!心配しないで、血なまぐさい場面は子供には見せられないから、見ないよ!」
寺田凛奈:「……」
彼女は藤本凜人を見た。「どうしてここに来たの?」
藤本凜人は少し黙った後:「試合を見に来ました。男性はみな武術に対して生まれつきの愛着があるんです」
寺田凛奈:??