寺田凛奈のこの言葉が出るや、その場は一瞬静まり返った。
寺田雅美も眉を少し上げた。
寺田治はさらに驚いたが、すぐに反応し、尋ねた。「渡辺家からもらったんだろう?」
「違うわ」
寺田家に住むようになった時、石丸和久はお金をくれようとしたが、莫愁丸の返金がまだ完全に口座に入っておらず、彼らの手元にもあまりなかった。
石丸和久は100万円を用意した。結局、渡辺家全体でもその時100万円しかなかったのだから。
しかし凛奈は受け取らず、こっそりカードを部屋に置いていった。
寺田治は驚いた。「じゃあ、これは?」
凛奈:「私自身のカードよ」
自分の……つまり彼女自身が稼いだお金?
揚城から来たばかりの少女に、いくらのお金があるというのだろう?
しかし彼女がそう言うからには、寺田治は5000円を受け取り、ついでに言った。「じゃあ、ちょっと貸してくれない?」
「いいわよ。いくら必要?」
凛奈は今回素早く答えた。
結局のところ、さっきこの治が彼女に5000円くれたことに感動したのだ。
寺田治:?
寺田雅美:??
横にいた家政婦の三原耀子もこの言葉を聞いて唖然とした。
彼女は口をとがらせて言った。「六少爺、誰かほかの人から借りればいいじゃないですか。どうして凛奈さんから借りるんですか?」
寺田治はすぐに顎を上げて言った。「なんで彼女から借りちゃいけないんだ?言ってみれば、彼女も俺の姉さんだぞ!」
言い終わると、彼は直接凛奈を見て、金髪を掻きながら言った。「1……千?」
凛奈:?
凛奈の視線を感じ取り、寺田治は自分が少なすぎると思い、付け加えた。「1万?」
凛奈:?
「それとも……10万?」
寺田治の毎月の日常的な出費は30万円前後だったので、10万円は彼にとってはそれほど多くなかった。しかし凛奈の身分を考えると、彼女が用意できないかもしれないと心配になった。
心配していると、凛奈がパジャマのポケットからカードを取り出すのが見えた。「これを持っていって」
寺田治:?