第317章 脚を使わない

寺田洵太の話を聞いていると、相変わらず中二病全開の様子だった。

  寺田凛奈は思わず額に手を当て、尋ねた。「あなたはみんなにこんなに親切なの?」

  寺田洵太:??

  寺田洵太は質問に戸惑った。

  彼は呆然と寺田凛奈を見つめ、一瞬自分の行動が少し奇妙だと感じた。

  いつから彼はこんなに世話焼きになったのだろう?見知らぬ女性にこんなに気を遣う必要があるのだろうか?

  実際、彼にも説明がつかない感覚だった。この女性のあの淡々とした態度が、どことなく寺田凛奈のような気がしていた。

  結局のところ、彼は長い間寺田凛奈を尾行して守ってきたのだから。

  彼は鼻を鳴らし、「余計なお世話だったな」と言った。

  そう言って立ち去った。

  寺田凛奈:「……」

  彼女は今の発言で寺田洵太を怒らせてしまったのだろうか。そうでなければ、なぜこの中二病の少年が急に冷たくなったのだろう。

  しかし、彼女はそれ以上考えなかった。舞台に上がる時間だったからだ。

  舞台に上がる前、彼女は振り返って寺田芽を一目見た。

  寺田芽はすぐに気を利かせて手を伸ばし、目を覆った。「ママ、安心して。私はもう準備できてるよ。後でパパに詩を暗唱するからね!」

  寺田凛奈はすぐに藤本凜人の方を向き、何か言おうとしたが、藤本凜人は頷いた。「後で報告します。彼女がどんな詩を暗唱したか」

  寺田凛奈は頷き、リングに向かって歩き出したが、何か違和感を覚えた。舞台に上がってようやく気づいたのは、さっきの彼らのやりとりが少し息が合いすぎていたのではないかということだった。

  まるで三人家族のようだった。

  彼女は咳払いをした。

  あれこれ考えている間に、対戦相手の「リフォームはとても疲れる」が口を開いた。「お前は女だけじゃなくて、こんな格好で舞台に上がってくるのか?お前は喧嘩しに来たのか、それとも彼氏探しに来たのか!」

  寺田凛奈は少し驚き、自分の今日の服装を見下ろした。

  守るべきところは守っているし、問題ないはずだ。

  彼女は眉をひそめた。

  下の観客たちは一斉に笑い出した。「そうだよ、まさか女かよ。女が何で騒ぎに加わるんだ!」