第332章 老いぼれの病状

寺田凛奈がこの電話をかけた理由は、まさにこのことだった。

  彼女はもちろん、息子の要求で親友に迷惑をかけるようなことはしない。結局のところ、真由美は真治と他の人の娘なのだから。

  彼女には分かっていた、真由美がダンスの素質があることを。

  そして彼女は知っていた、この数年間木田柚凪が後継者を探し続けていることを。

  彼女自身がダンスで一定の段階に達した後、自分のダンスブランドを立ち上げ、適切な後継者を見つけることは非常に難しかった。

  真由美との接点は多くないが、この子が性格的に善良であることは見て取れた。

  だからこそ、話をしてみようと思ったのだ。

  今、木田柚凪の言葉にある「この子」とは、真由美のことだろう?

  彼女はためらいながら尋ねた。「あなたはどう思う?」