寺田凛奈は本当に可笑しいと思った。どうやら、彼女はこの人と話し合う機会を見つけて、自分の実力を知らせる必要があるようだ。
彼女は淡々と言った。「私について来る必要はないわ」
そう言い残すと、寺田洵太が何か言う前に、そのまま階段を上がっていった。
寺田洵太:「……」
彼は腹立たしげに寺田凛奈の背中を見つめ、何か厳しいことを言おうとしたが、なぜか突然、その姿が見覚えがあるように感じた。
彼女はズボンを履いていて、028号はいつも黒か赤の長いドレスを着ているが、二人の後ろ姿を見ると、どこか似ているように感じた。
きっと見間違いだろう。
028号はあんなに気さくな人なのに、寺田凛奈のはずがない。
820号と大師兄の体型が似ているのと同じように、この世界には体型が似ている人がたくさんいるのだ!
寺田洵太は首を振り、頭の中の考えを払拭した。そのとき、遠くから誰かが歩いてくるのが見え、寺田洵太は慌てて暗闇に身を隠した。
この期間、地下武術大会の会場で目立つことに慣れすぎて、一瞬、身を隠すことを忘れていた。
あやうく寺田家の使用人の目に晒されるところだった。
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寺田凛奈がリビングに入ると、ほぼ寺田洵太から逃れることができた。彼は人前に堂々と現れることはないだろう。
建吾はすでに帰ってきていて、真由美と一緒にブロック遊びをしていた。
寺田真由美はか細い声で話し、藤本建吾は彼女の遊びがつまらないと思いながらも、眉をひそめて付き合っていた。
寺田保裕は元気いっぱいで、二人の周りをぐるぐる回っていた。「真由美、君はどうしてこんなに間抜けなの!ここじゃダメだよ……あ!崩れちゃった!」
寺田真由美は口をとがらせ、黙って寺田保裕を見つめた。
寺田保裕は焦った。「泣かないでよ、泣き虫。泣かないでくれる?君のものに触らないから、いい?」
彼が話している間に、藤本建吾はため息をつき、ゆっくりとしゃがみ込んで、寺田真由美が先ほど作っていたブロックを三回ほどで組み立てた。
寺田真由美はようやく涙を拭いて笑顔になった。「芽ちゃん、ありがとう」