第330章 寺田凛奈と028号

管家が彼のその行動を見て、急に興奮した。

  皆は漢方医学に鍼灸があることは知っていたが、実際に目にすると、やはり驚きと戸惑いを感じた。今では漢方医学はあまり一般的ではなく、あの針はあんなに長くて、人の脳全体を貫通できそうに見えたからだ。

  だから、寺田凛奈の行動にかなり驚いたのだ。

  老いぼれの様子が本当に良くなっているようで、管家はまた唾を飲み込んだ。「気分はどうですか?」

  老いぼれは大きな白いまんじゅうを一口かじり、ゆっくりと口を開いた。「眠くなってきた。」

  その言葉が落ちるや否や、彼の指が緩み、大きな白いまんじゅうが床に落ち、彼自身もベッドに倒れ込んだ。

  これは昏睡状態に入ったのだ。

  鍼灸の副作用で、とても普通のことだ。

  寺田凛奈はそう考えながら、針を取り上げ、さらに2回刺した。

  漢方医学による治療は、効果が現れるのにとても時間がかかる。老いぼれのこの程度の精神疾患で神経を刺激するには、少なくとも2週間は必要だろう。

  今日は初日なので、あまり深く入り込むのは適切ではない。

  寺田凛奈は3針刺して、針を収めた。

  管家は傍らで老いぼれがぐっすり眠っているのを見て、口を開けたまま、思わず尋ねた。「凛奈さん、彼はどうなったんですか?」

  寺田凛奈は答えた。「大丈夫です。一眠りすれば良くなります。」

  そう言うと、彼女は体を伸ばし、背伸びをした。

  他の人から見れば、彼女はただ3針刺しただけだ。

  しかし、実際には彼女自身だけが知っていた。先ほどどれほど疲れたか、精神を高度に集中させ、ツボを正確に見つけなければならなかった。

  老いぼれは火傷をしており、頭は全体的に火傷跡だらけで、ツボの位置を見つけるのは本当に難しかった。

  さらに、針を刺した後も、銀針の力加減と深さをコントロールしなければならず、これらすべてを彼女がその場で判断して対応しなければならなかった。

  彼女はあくびをして部屋を出て、試合に参加する準備をした。

  今日の2試合も、相変わらずつまらなかった。