昨日の朝、彼女が老いぼれの脈を診たときは、まだ正常で、すべてが彼女のコントロール下にあったのに、どうして急に瀕死の状態になってしまったのだろうか?
彼女はそのまま外に向かって歩き出し、眉をひそめて言った。「病院に行きます!」
「寺田さん。」
警察官が彼女を止めた。「我々の調査にご協力ください。今すぐ警察署に同行していただく必要があります。」
寺田凛奈がまだ何か言おうとしたとき、もう一人の警官が腰のホルスターに手をかけた。「寺田さん、今すぐ我々と同行してください。さもなければ、公務執行妨害とみなします!逮捕する権利がありますよ!」
寺田凛奈は拳を握りしめ、深く息を吸った。
ここは国内だ。過度な行動は取れない。
寺田凛奈は目を伏せ、ゆっくりと口を開いた。「同行します。ですが、服を着替えることは許可していただけますか?」
彼女は今、パジャマ姿だった。
警察官はうなずいた。「どうぞ。」
寺田凛奈はドアを閉めると、すぐに携帯を取り出し、リリにLINEを送った。すぐに帰国し、医師に連絡して老いぼれのいる病院を探し、何としても老いぼれの安全を確保するように指示した。
送信後、木田柚凪にも電話をかけ、藤本建吾が放課後、彼女のところに迎えに行くよう伝えた。建吾が寺田家に戻って彼女の身に何かあったことを知るのを避けるためだった。
二つの事を処理し終えると、彼女はようやく普段着に着替えて部屋を出た。
警察官と一緒に階下に降りると、ロビーにはすでに寺田家の使用人たちが立ち並んでいた。彼女を見ると、彼らの目つきは怒りに満ちていった。
寺田雅美は心配そうな表情を浮かべ、憂いに満ちた目で彼女を見つめた。「凛奈、私は前から言っていたでしょう。老いぼれを実験台にしないでって。ほら、こんなことになってしまったじゃない?」
寺田凛奈は彼女をちらりと見て、すぐに視線を外した。「私は言ったはずよ。老いぼれの治療をしていただけだって。」
寺田雅美は唇を噛んだ。「安心して。寺田家はあなたを見捨てたりしないわ。それに、あなたは藤本さんの彼女なんだから、藤本家だってきっと放っておかないはずよ。」
この言葉を聞いた途端、寺田凛奈の目つきは鋭くなった。