第345章 人を救え!

警察が寺田凛奈を連れ去った後、寺田真治はそのニュースを聞き、会社の仕事を放り出して家に戻った。

  玄関に入るなり、まず外部管理人に難癖をつけた。「寺田家の門は、誰でも勝手に入れるようになったのか?」

  外部管理人は急いで謝罪した。「旦那様、あの時老いぼれの命が危なかったので、私も心配で、ずっと対応できませんでした。」

  寺田真治は彼を一瞥した。

  外部管理人が普段から老いぼれと仲が良いことを知っていたが、それを指摘しなかった。なぜなら、家には家らしさがあるべきで、冷たくなりすぎて全員がロボットのようになってはいけないと常に考えていたからだ。

  外部管理人のこの点は、彼が認めるところだった。

  寺田真治は尋ねた。「老いぼれの状態はどうだ?」

  三原耀子は外部管理人が口を開く前に、焦って言った。「もう最高の病院に送られました。今はまだ救命中で、目覚めるかどうかは誰にもわかりません!旦那様、今どうすればいいでしょうか?ご老人様がこのことを知ったら、きっと悲しむでしょう!ご老人様は老いぼれをとても大切にしていましたから!」

  三原耀子は寺田凛奈が連れ去られたことには一切触れず、心の中は寺田亮の安否のことでいっぱいだった。

  寺田真治は目を伏せた。

  寺田雅美が口を開いた。「お兄さん、凛奈はどうするの?」

  彼女のことを持ち出すと、三原耀子はすぐに恨みがましく言った。「どうするって?彼女に罰を受けさせるべきよ!田舎から来た野蛮な娘が、こんな大きな間違いを犯すなんて!それは人の命なのよ!よくもそんなことができたものね!この件を旦那様が知ったら、きっと彼女を許さないわ!」

  この言葉に、寺田真治の目つきが少し冷たくなった。

  どんなに悪くても、寺田家の人間だ。

  外部管理人は寺田真治を一瞥し、咳払いをした。「私は、凛奈さんのことは急ぐ必要はないと思います。老いぼれの方が良くなれば、凛奈さんは自然と問題なく、無罪釈放されるでしょう。もし老いぼれの方に何かあった場合でも、その後で凛奈さんを救う方法を考えても遅くはありません。それに、こうすることで、ご老人様の怒りも少しは収まるでしょう。」