第346章 石山

管理人が連絡先に行っている間、寺田真治は眉をひそめて手術室を見つめていた。

  彼はまた電話をかけ、京都で呼べる専門家をすべて呼んだ。

  専門家たちが診察している間、寺田真治は横に立ち、口を出さなかった。これは彼の能力の範囲外だった。彼の最大の長所は、自分が理解していないことに口を出さないことだった。

  老いぼれの命を信頼できる医師に任せ、彼は携帯電話を取り出し、警察の人々に連絡を取り始めた。寺田凛奈がどういう状況なのか、なぜ保釈できないのかを聞きだそうとした。

  「わかりました。それじゃあ、調べてもらえますか。ありがとう」

  また一本の電話を切った後、寺田真治は携帯電話を取り出し、しばらく考えてから藤本凜人に電話をかけようとした。

  藤本家がAntiを呼べるなら、寺田真治は自分が藤本凜人に劣っていることを認めたくなくても、今この時、藤本家の助けを借りるしかなかった。

  しかしそのとき、寺田雅美が近づいてきた。彼女は寺田真治を見て尋ねた。「お兄さん、何か手伝えることはありますか?」

  寺田真治は彼女を見て眉をひそめ、今のところ必要ないと言おうとしたが、突然携帯電話が鳴り出した。彼が頼んでいた友人から、寺田凛奈がなぜ保釈できないのかの理由がわかったという連絡だった。

  両方とも急いでいたので、彼はさっさと寺田雅美に向かって口を開いた。「すぐに藤本さんに連絡して、老いぼれが今治療中で、Antiの助けが必要だと伝えて」

  彼は無意識のうちに、寺田凛奈が警察に連れて行かれる前に木田柚凪に知らせることができたなら、きっと藤本凜人にも知らせているはずだと思った。

  寺田雅美は「藤本さん」という三文字を聞いて、瞳孔が縮んだ。

  彼女はすぐに頷いた。「わかりました。あなたは先に電話に出てください」

  寺田真治が横に行って電話に出ると、寺田雅美はようやく携帯電話を取り出し、藤本凜人の個人番号にダイヤルした。

  以前、藤本家と寺田家は両者をくっつけようとしていたので、彼女が藤本凜人の番号を持っているのは当然だった。