向かいの人はちょっと間を置いて、それから口を開いた。「……人命に関わるものは、保釈措置を取ることはできません。彼は寺田さんが保釈されたら逃げてしまうのではないかと心配しているのです。」
逃げる……
寺田真治は眉をひそめた。
このような命令は、普通の女の子に下されるべきではない。むしろ、死刑囚や殺人犯に下されるようなものだ!
彼らが逃げる機会を見つけることを恐れ、一度拘束したら24時間拘留し、絶対に逃がさない。
自分の従妹は一体何者なのか?
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警察署の取調室は冷たく、周りは全て金属製の壁と大きな扉だった。
二人の警官が向かいに座っている女性を見つめ、一人がゆっくりと口を開いた。「寺田さん、あなたが認めなくても、あの老いぼれさんの命は風前の灯です。彼に何かあれば、あなたも楽ではすみませんよ!」