「薬物?」
寺田凛奈は敏感に察知した。石山博義がこの点をとても重視しているようだった。
彼女は目を伏せ、真剣に言った。「老いぼれの神経が少し損傷を受けたため、今は体力が弱っていて、まだ薬物治療には適していません。だから私はずっと鍼灸療法を使っていました。」
石山博義は少し戸惑った様子で「鍼灸?」
「はい。」
寺田凛奈はゆっくりと体を起こした。
石山博義は顎を引き締めた。「他の薬物を使って補助治療を行っていないと確信していますか?」
「はい、していません。」
「わかりました。」石山博義は立ち上がった。「寺田さん、しばらくの間、ここにいてもらって申し訳ありませんが、私たちは今から老いぼれのところへ行って調査し、証拠を集めます。」
「石山さん、私は老いぼれに会って治療する必要があります。」寺田凛奈は強く主張した。
しかし、石山博義は目を伏せたまま「あなたは今、外出するのは都合が悪い。」
寺田凛奈は眉をひそめた。「では、老いぼれの病状を見てきてください。もし本当に生死の境にあるのなら、私を出してください。」
生死の境...
石山博義は顔を上げて彼女を見た。「あなたは本当に医者なのですか?」
「はい。」
寺田凛奈は堂々と相手の視線に答えた。「私はAntiです。」
こんな状況になったら、仮面なんてもう隠す必要はない。
石山博義は明らかに驚いた様子だった。「あなたがAntiですか?」
寺田凛奈はうなずいた。
石山博義は少し沈黙した後、立ち去らずに再び座った。「私の知る限り、Antiは過去5年間で海外で名を馳せたばかりですが、寺田さんは何年医学を学んでいるのですか?」
寺田凛奈は椅子に寄りかかり、目を伏せて疲れた様子で「24年です。」
彼女は幼い頃から医学を学んでいた。
ただし、学んだのはさまざまで、漢方医学もあれば西洋医学もあった。
石山博義は少し戸惑った様子だった。「私の知る限り、外科医のほとんどは年配で、いくつかの症例を経験した人たちですが、寺田さんは何年間医療に従事していますか?」
医療?