第369章 お前は寺田家の人じゃないのか？

この時、小泉佐友理の手が寺田治の頬を掴み、寺田治の手は小泉佐友理の首を押して、彼女が近づきすぎないようにしていた。寺田治は手を出そうとはしなかった。相手が女の子だったので、まだ手加減していたのだ。

二人の言葉が同時に響き、そして二人とも固まった。

小泉佐友理の手が緩んだ。「何て言ったの？」

寺田治も呆然としていた。「何て言ったの？小泉家？君は揚城の寺田家の人じゃないの？」

小泉佐友理：？

寺田治は少し考えてから、咳払いをした。「どうやら誤解があったようだ。手を離してくれ、ちゃんと話そう」

小泉佐友理は怒り心頭だった。「ダメ、あなたが先に手を離して」

寺田治：「……じゃあ、一二三で一緒に離そう」

「いいわ」

「いち、に、さん……」

この言葉が言い終わったとき、小泉佐友理と寺田治はまだ絡み合ったままだった。

寺田治：「離せよ！」

小泉佐友理：「あなたが先に離しなさいよ！」

リリ：「……」

二人とも20歳の人間なのに、合わせて40歳にもなるのに！こんなにも幼稚なんて！

彼女は口角を引きつらせながら一歩前に出て、口を開いた。「六少爺、お嬢様、誤解されています！お二人とも凛奈さんの大切な親族なんです！早く離してください！」

寺田治は疑わしげに尋ねた。「何を言っているんだ？揚城の寺田家の人々が彼女に良くしていないって聞いたけど」

リリ：「……寺田家の人々が良くなかったんです。お嬢様は凛奈さんの叔母の娘で、小さい頃から凛奈さんの叔母がいなければ、凛奈さんは飢え死にしていたかもしれません！」

寺田治はこの言葉を聞いて急いで手を離した。「誤解だった誤解だった、君はまだ手を離さないのか？痛くてたまらないよ！」

しかし小泉佐友理はリリを見つめたまま。「あなたは誰？寺田家の人々と同じく、凛奈姉さんに良くしていないの？」

リリ：「……私はリリです！Antiのアシスタントです！お嬢様、早く手を離してください。寺田家は凛奈さんに悪くしていません！」

医学生である彼らにとって、Antiは神のような存在だった。そしてAntiのアシスタントであるリリも伝説的な存在だった。Antiの側でアシスタントを務められるということは、いじゅつもきっと劣らないはずだ！