第370章 建吾の安心感

「あなた……」寺田雅美は彼に言い返すことができなかった。

  彼女は怒って振り返り、階段を上がった。

  寺田治は彼女の背中に向かって口をとがらせ、小泉佐友理に話しかけた。「彼女のことは気にしないでください。ただ家で甘やかされすぎただけです。」

  甘やかされすぎた?

  小泉佐友理は唇を噛んだ。「彼女はかなり上品に見えますけど。」

  寺田治は歯ぎしりしながら言った。「それは全部嘘です。この人のことは誰よりも分かっています。一緒に育ったんですから。表と裏で態度が違って、最も偽善的です。寺田家とは血縁関係がないんです。三叔父が彼女を養子にしなかったら、彼女は何者でもありません。」

  小泉佐友理:「……ああ。」

  寺田治は話し終わって、外部の人の前で自分の家族を中傷するのは適切ではないと気づいた。そして言った。「ここで待っていてください。私は先に上がります。」

  寺田荘園には彼の部屋がある。寺田雅美が今は家を管理していないと聞いて、寺田治は興奮して戻ってきた。彼女のみじめな姿を見たかったのだ。

  彼は決めた。今日からここに戻って住むことにする!

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  京都郊外。

  高級住宅地で、木田柚凪は藤本建吾とゲームをしていた。彼女はわざと12歳の子供向けのパズルを買った。難易度を上げて、藤本建吾に付き合うためだった。

  しかし、わずか2分後、木田柚凪は地面に完成したパズルを見て、そして藤本建吾を見た。彼が「簡単すぎる」とため息をついたのを聞いた。

  木田柚凪:「……」

  彼女は試しに尋ねた。「次は大人向けのパズルを買おうか?」

  藤本建吾:「……ママ、パズルが好きなの?」

  木田柚凪:?

  藤本建吾はため息をついた。「こんなに長く付き合ってあげたんだから、数学のオリンピックの勉強をしてもいい?」

  木田柚凪:!!

  つまり、藤本建吾にとって、彼女とパズルを一緒にするのは時間と労力の無駄だったのだ!

  木田柚凪は口角をピクリと動かした。「行っていいよ。」