「ママ、もし僕が数学が大好きだったら、勉強させてくれないの?」と藤本建吾が口を開いた。
「絶対にそんなことはないわ」と寺田凛奈。
芽はゲームが好きで、みんなそれが良くないことは知っていたけど、芽を喜ばせるために、凛奈はいつも許可していた。ただ、時間を制限しているだけだった。
藤本建吾は頷いた。「でも、真由美のママは彼女がダンスが好きなのを知っているのに、習わせてくれないんだ。それに、真由美はママをとても怖がっているよ」
怖がっている?
どんな子供も母親に対して、恐怖心を抱くべきではないはずだ。
寺田凛奈は藤本建吾が言葉を間違えたのかもしれないと思った。「お母さんが厳しいからかしら?」
藤本建吾は首を振った。「違うよ」
彼は少し考えてから口を開いた。「暴君も厳しいけど、僕のためを思ってくれているのは分かるんだ。時々、暴君に対抗するために、僕は絶食することもある。なぜなら、暴君が妥協してくれるって分かっているからだよ」