第400章 元の鞘に戻る

寺田凛奈はこの言葉を聞いて、少し黙り込んだ。

  彼女は突然口を開いた。「本当に知りたい?」

  寺田洵太はうなずいた。

  寺田凛奈は遠くを見つめた。

  実は、これらの言葉は本来言うつもりはなかった。結局のところ、母親が残した遺言には危険が潜んでいて、今でも敵がどこにいるのか、誰なのかわからないのだから。

  彼女は口を開いた。「私が大師姉の身分を隠していた理由がわかる?」

  寺田洵太は首を振った。

  寺田凛奈は話し始めた。「なぜなら、母が言ったの。もし私が目立てば、私を狙う人が出てくるって」

  この言葉に寺田洵太は急に目を細めた。

  寺田凛奈は彼を見つめた。「私はこの言葉を、彼に伝えたわ」

  この「彼」とは、寺田亮のことだ。

  たった今再会したばかりで、彼女はまだその人を父親と呼ぶことに慣れていなかった。「お父さん」という言葉は、さらに口に出せそうもなかった。