寺田凛奈はこの言葉を聞いて、少し黙り込んだ。
彼女は突然口を開いた。「本当に知りたい?」
寺田洵太はうなずいた。
寺田凛奈は遠くを見つめた。
実は、これらの言葉は本来言うつもりはなかった。結局のところ、母親が残した遺言には危険が潜んでいて、今でも敵がどこにいるのか、誰なのかわからないのだから。
彼女は口を開いた。「私が大師姉の身分を隠していた理由がわかる?」
寺田洵太は首を振った。
寺田凛奈は話し始めた。「なぜなら、母が言ったの。もし私が目立てば、私を狙う人が出てくるって」
この言葉に寺田洵太は急に目を細めた。
寺田凛奈は彼を見つめた。「私はこの言葉を、彼に伝えたわ」
この「彼」とは、寺田亮のことだ。
たった今再会したばかりで、彼女はまだその人を父親と呼ぶことに慣れていなかった。「お父さん」という言葉は、さらに口に出せそうもなかった。