録音が終わると、2階全体が静まり返った。
寺田史之助は信じられない様子で寺田雅美を見つめていた。
この温和で上品な妹が、裏では妻にこんな言葉を投げかけていたなんて、彼にはどうしても想像できなかった。
彼は秋田花泉の方を見た。
これまでは妻のお嬢様気質や、思慮深さの欠如、譲歩する心の無さを気にしていた。結局のところ、実家ではお姫様のように甘やかされて育ったのだから。
しかし今の彼女は目が赤く腫れており、明らかに大きな屈辱を受けていた。
そうだ。
妻は確かに気性が激しいが、いつも潔く、行動も爽やかだ。こんなにまで追い詰められなければ、こんな喧嘩になるはずがない。
秋田花泉は、これまでの喧嘩と同じように、寺田史之助が自分の不適切な行動を指摘して終わると思っていたが、予想外の展開に驚いた!