第425章 木田柚凪、あなたには子供がいた

素直な孫娘の願いを断れるだろうか?

  答えはもちろん断れない。

  寺田亮は口をゆがめ、寺田真治を一瞥した。

  藤本凜人が外にいるという情報は、内管理人が直接入ってきて密かに彼に報告したもので、寺田芽と藤本建吾は全く知らなかった。

  夕食の時でさえ、寺田芽は好奇心を持って入り口の方を見て、こう言った。「パパ、どうしてまだ来ないの?」

  寺田亮はその時冷ややかに口を開いた。「おそらく仕事で忙しいんだろう」

  寺田芽はその時少し不機嫌そうに、「ふーん」と言った。

  寺田亮はこの機会を利用して彼女に悪印象を植え付けようとした。「こういう忙しくなると子供のことを顧みない親は、最も無責任だ。芽ちゃんは今後パパのことを好きにならないほうがいいよ、いいかな?」

  寺田芽はこの言葉を聞いて、目を大きく見開いた。