第496話 Q、値段を付けて

寺田凛奈は小変態に聞きたいことがたくさんあった。妊娠の仕方、なぜ子供を産まないと死ぬのか、そして母親のことについても……

彼女はすでに気づいていた。この小変態は意外と約束を守る方で、少なくとも前回は彼女を騙さなかった。

彼女は目を細めて、メッセージを返信した：【了解。】

このメッセージを送信した後、彼女は嬉しそうにハッカーのウェブサイトを開いた。ハッカーQのプライベートメールボックスには、一通のメールが静かに置かれていた。

これは外部の人間がハッカーを雇う際の、唯一の連絡手段だった。

ハッカー連盟なので、他のハッカーに攻撃される心配もない。世界で最も優秀なハッカーたちがここに集まっているので、誰も挑戦しようとは思わないだろう。

テーブルの向かい側。

寺田芽と藤本建吾は藤本凜人の両側に座り、三人とも静かに寺田凛奈の食事を見守っていた。

しかし寺田凛奈は彼らに一瞥もくれなかった。

寺田芽は密かにため息をついた：「ママ、誰とメッセージしてるの？笑ってるよ！もしかして外にイケメンができたの？」

藤本建吾はこの言葉を聞いて、同情的な目で藤本凜人を見た。

藤本凜人は顔を曇らせ、低い声で言った：「でたらめを言うな。」

寺田芽は小さな手で顎を支え、口を尖らせた：「パパ、私でたらめなんて言ってないよ。私はママのことをよく知ってるの。海外にいた時も、パパを見つけてって言ったのに、ママは西洋人の顔が好きじゃないって言ってたの。でも日本に帰ってきたら、やっぱりイケメンを見て目がくらんじゃったんでしょ！」

藤本凜人：「……」

藤本建吾は躊躇いながら尋ねた：「でも、ママはもしかしてビジネスの話をしているんじゃない？」

寺田芽は目を転がした：「お兄ちゃん、ママがお金を稼いでるところなんて見たことある？」

藤本建吾：？

寺田芽は大人びたため息をついた：「ママは5億円しか貯金がないの。毎日何もしないで、おばあちゃんがいなかったら、私は貧乏に育てられてたかもしれないわ！」

藤本建吾は驚いた：「ママはたった5億円なの？」

彼は普段金融で遊んでいて、自由に使える資金は10億円以上あった！

寺田芽は頷いた。

藤本建吾：「……じゃあ、ママは貧乏だね。」