第495章 高岡さんが面目を失う

「何ですって?」

三原御医は驚いたような、聞き間違えたような様子で、声が一瞬高くなった。

高岡さんは慌てて慎重に説明した。「寺田家が最近認知した長女の寺田凛奈のことです。藤本家の婚約者だと聞いています...そうそう、彼女にはもう一つ重要な肩書きがあって、国際外科医のAntiなんです。この肩書きはとても尊敬されているんですよ。若い人だから、ちょっと褒められただけで調子に乗って、自分は医学界で無敵だと思い込んでいるんでしょうね?」

高岡さんはここまで話して、恐る恐る三原御医の様子を窺った。

実は彼は少し自信がなかった。

寺田雅美が三原御医から五十嵐安神丸を買えたということは、三原御医は寺田家と繋がりがあるということだ。

特に先ほど寺田凛奈が本を借りに来て、実際に借りることができたということは...

これは三原御医も寺田家と藤本家を敵に回したくないということだろうか?

そう考えながら、彼は咳払いをして口を開いた。「三原さん、考えてみたんですが、確かに彼女の立場は敵に回したくないものです。特に寺田家と藤本家が後ろ盾になっているわけですから。でも私たちのような者は、その立場にいる以上、やるべきことをやらなければなりません!彼女の立場を気にして黙っているわけにはいきません。ですから、できれば先生に仲介役になっていただいて、私から彼女を叱りつけたいと思うのですが?」

三原御医は眉をひそめ、複雑な表情で彼を見つめた。「今の話では、寺田凛奈が西洋医学は漢方医学に劣ると言ったということですか?」

高岡さんは急いで頷いた。「はい、病院で看護師たち全員の前で言ったそうです。倉田幸歩が聞いていて、彼女があまりにも見過ごせないと思って広めたんです。他の看護師たちは藤本家と寺田家に買収されているから、この件について口を開こうとしないんです。」

倉田幸歩はそう言っていた。

買収されているかどうかなんて、高岡さんにはどうでもよかった!

彼はただ寺田凛奈を失脚させたかっただけだ!

しかし、この言葉を聞いた三原御医は突然冷笑した。「それはありえない。」

高岡さんは一瞬固まった。「三原さん?どうしてありえないんですか?噂は既に広まっていて、影響は深刻です。それなのに彼女は堂々と先生のところに見舞いに来る。もしかして先生に警告でもしに来たんじゃないですか?」