第512章 板挟み

小泉佐友理の言葉が出た途端、向こうの学生たちは一瞬静かになり、全員が一斉に彼女を見つめた。

先ほど話していた女子学生は冷笑して口を開いた。「へぇ、私たちの言うようじゃないなら、どういうことなの？」

小泉佐友理は説明した。「Antiはそんなことを言っていません。誰かが彼女を誹謗中傷しているんです！」

「誹謗中傷？なぜ彼女だけが標的になるの？それに、もし彼女が誹謗中傷されているなら、堀口佳暉はどうなの？堀口佳暉は彼女の友人で、今まさにその日の漢方医学と西洋医学の対決に参加する人を集めているのよ！ここまで事が進んでいるのに、誹謗中傷だなんて？笑わせないで！」

「そうよ、それに西洋医学側の何人かの学生もAntiに賛同して、応援に行く準備をしているわ！はっ、Antiの学生のくせに、学校でこんなことを言うなんて、呆れるわ！」

「……」

小泉佐友理を非難するこれらの人々は漢方医学院の人たちで、彼らがAntiに敵意を持っているのは当然のことだった。

小泉佐友理は慌てて手を振りながら言った。「違います、Anti本人は漢方医学を尊重しているんです。本当です。彼女はそんなことを言っていません。誤解しないでください……」

この言葉を聞いて、漢方医学の人たちは少し戸惑った様子を見せた。

しかし、突然誰かが口を開いた。「小泉佐友理、何なの？Antiがそう言ったなら言ったでいいじゃない。私たちは西洋医学を学ぶ者よ。漢方医学を軽蔑してどうしたの？漢方医学なんて詐欺師で、呪術から進化しただけのものよ！私たちも内々でAntiを応援してるのに、まさかAntiの学生のあなたが最初に裏切るなんて！ひどすぎる！」

「そうよ、漢方医学がいいと思うなら、漢方医学を学べばいいじゃない？なぜ西洋医学の大学院の枠を取っているの？それにAntiはあなただけを学生として受け入れたのに、Antiを助けるどころか、ここでAntiの恥を晒すの？」

「そうよ！あなたはひどすぎるわ！」

「……」

西洋医学を学ぶ学生たちは、小泉佐友理が漢方医学の人々の機嫌を取るために嘘をついていると確信し、皆で彼女を非難した：

「漢方医学界の機嫌を取るなんて、本当に恥知らずね！」

「そうよ、自分の先生まで裏切るなんて！もしAntiがこんな学生を取ったことを知ったら、どれだけ怒るか分からないわ！」