第513章 告げ口!

他の見学していた学生たちが手術に必要な物を準備する中、福山部長は携帯を取り出し、寺田凛奈に電話をかけた。

しかし、電話は誰も出なかった。

福山部長は眉をひそめた。

彼は実は以前からこのAntiが気に入らなかった。名ばかりの教師で、学校にはまったく姿を見せず、若くして名声が高いくせに、普段は連絡も取れない!

今がまさにそうだ!

福山部長は怒って携帯を棚に投げ入れたが、考え直して取り出し、Antiにメールを送ってから、やっと棚を閉め、手術室に入った。

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小泉佐友理は京都医科大学と提携している動物病院にやってきた。受付で学生証を提示すると、担当者が出てきた。

動物病院では、西洋医学の先輩が担当していて、彼女を見るなり驚いて尋ねた。「どうして動物病院に配属されたの?」

脳神経外科の大学院生といえば、大学では引く手数多だったのに!

小泉佐友理は気まずそうに笑って、何も言わなかった。

その先輩は彼女の学生証を見て、「小泉佐友理?指導教官は...Anti?」

彼は驚いて声を上げた。「ああ、君がAnti教授の学生だったのか!」

小泉佐友理は頷いた。

先輩は少し待つように言い、携帯を取り出して大学側に連絡を取り、状況を確認した。事情を知ると、彼も眉をひそめた。

電話を切ると、軽蔑するような目で小泉佐友理を見て、「うん、どこか手伝えるところを探しなさい」と言った。

小泉佐友理はため息をつき、頷いて奥へ向かった。

獣医の仕事も、実はいくつかの種類がある。

飼い主に大切にされているペットが病気になって連れてこられるケース。このような動物は飼い主の宝物として扱われ、治療費も惜しまれない。

また、動物愛護団体が連れてくる野良動物もいる。これらの動物は一般的に不潔で、どんな感染症を持っているかもわからない。

ほとんどの獣医はこのような仕事を好まない。何より、心付けももらえないのだ!

小泉佐友理が奥に着くと、すぐに誰かが運び込まれたばかりの二匹の子猫を指さして言った。「まずこの二匹の子猫を洗ってあげて!」

小泉佐友理は呆然とした。

彼女はペットと接したことがなく、家でも飼ったことがない。それに何より!

猫アレルギーなのだ!

彼女はその場に立ち止まり、「すみません、私、猫アレルギーで...」と言い始めた。