第545章 父さん、ご安心ください

結婚式場全体に銃弾がガラスを貫通する音が響き渡り、その弾丸はムヘカルの後頭部に向かって飛んでいった。このままでは彼の頭を貫通し、即死させてしまうところだった!

そうなれば、全ての悔しさを地下に持ち込み、永遠に秘密として葬られることになるはずだった。

しかし電光石火の間に、寺田凛奈は一歩前に出て、ムヘカルのスーツを掴み、横に引っ張った!

弾丸は彼の頭の横をかすめ、皮一枚を擦り剥いただけで済んだ!!

その場にいた全員が呆然とした。

ムヘカル自身も、こんなことが起こるとは予想していなかったようで、完全に固まってしまった。

そしてちょうどその時、石山博義たちが近づいてきそうになったところで、寺田凛奈は相手の袖を引っ張り、彼の銃を再び自分の腰に向けさせ、両手を上げながら叫んだ。「動かないで!」