寺田凛奈が異議を唱える前に、藤本柊花は嘲笑い、口を開いた。「倉田隊長、発言には根拠が必要ですよ!Yを知った時も、Yは本物だと言っていましたよね。今になって、なぜ黒猫が本物だと確信できるんですか?」
倉田隊長は冷笑した。「もちろん、私なりの確信がありますよ!それに、黒猫は本物であるだけでなく、入江冬月が黒猫との連絡を取り付けてくれました!我々が逮捕した数人の容疑者は、今まで一言も有用な情報を話していませんが、黒猫はそれを聞いて、尋問方法を考案してくれることになりました!具体的な方法は、入江冬月と黒猫が一緒に検討することになっています!」
彼は自分の言葉を終えると、自ら拍手を始めた。「だから今日の小さな誤解は、もう水に流しましょう。入江冬月は若いし、詐欺の世界に触れたことがない。それに詐欺師の手口は巧妙だから、騙されるのも当然です!」
その言葉の後、他のスタッフたちもすぐに口を開いた。「そうですね、騙されたってことは大したことじゃありません!」
千葉さえも口を開いた。「うん、大したことじゃない。それに、あなたはYに会ったことはないけど、黒猫とは実際に会ったんでしょう?」
入江冬月は目を赤くしながら、まず一礼をした。「申し訳ありません。皆様に本当に申し訳なく思いますし、恥ずかしく思います。Yはネット上で知り合いましたが、黒猫とは私的にも友人関係にあり、この点については絶対に騙されることはありません。それに黒猫は私と一緒に尋問の方法を検討することに同意してくれました。数日中には、必ず皆様に計画をお示しします!」
言い終わると、彼女は涙を拭い、静かにため息をついた。「Yの件は私の大きな勘違いでした。寺田さん、藤本さんにYを呼んでいただいたのもあなたのおかげですよね?本当にありがとうございます。もしあなたがいなければ、私は今でもYが本物だと思い込んでいて、真実に気付くこともなかったでしょう!」
寺田凛奈:「……」
この茶番劇のレベルの高さには、彼女は到底及ばなかった!
彼女は口角を引きつらせた。
入江冬月は寺田凛奈を見つめ、表面上は謝罪の意を込めた申し訳なさそうな表情を浮かべながら、心の中では軽蔑と嫌悪の感情を露わにしていた。
Yの件は、確かに彼女の不注意だった。