寺田凛奈はその人々から離れ、真っすぐにムヘカルの取調室へ向かった。
この大物は相変わらずのんびりとしており、ソファに寄りかかって居眠りをしていた。ドアの開く音を聞いて、ようやく目を開け、無邪気に彼女を一瞥して声をかけた。「来たのか?今日は昼食を持ってきてないのか?」
寺田凛奈:「……」
本当に彼女を出前係だと思っているのか?
彼女は口角を引き攣らせながら、彼の向かいに座り、尋ねた。「あなたの件は、いつ頃終わりそうですか?」
「もうすぐだ」
ムヘカルは足を組んで、ゆらゆらと揺れていた。
寺田凛奈は遠回しに切り出すしかなかった。「木田柚凪はとても心配しています。本来なら新婚旅行で、彼女と寺田真治は二日後に飛行機とホテルを予約していたんです。あなたが出てこないと、彼女はきっとキャンセルするでしょう」