第563章 出国

彼の力強い言葉を聞いて、倉田隊長は重々しく続けた。「分かっている。あなたの気持ちも理解できる。実は森岡さんにも会ったんだ。彼もあなたの身分を認めていた。そうでなければ、前回の脱獄がそんなに簡単に成功するはずがないだろう?戻ってくるべきじゃなかったんだ!」

ムヘカルは倉田隊長を見つめた。

倉田隊長は彼を見つめながら続けた。「今、国はあなたを必要としている。人民もあなたを必要としている。神秘組織は尻尾を出し始めた。我々が追跡を続ければ、いずれ彼らを捕まえることができる。今すぐにでも海外に行くよう手配できる。公に身分を明かすよりも、海外での活動の方が効果的だ!特別功労を立てたくないのか?そうすれば、より輝かしい形で帰国できる。そして、あなたの娘は...今は少し噂されるだけだ。彼女は必ず理解してくれるはず。むしろ、あなたの苦衷を理解してくれるはずだ!」

このような言葉...森岡さんも何度も言ってきた。

だからこそ、ムヘカルは何度も海外に留まり続けた。

以前なら、身寄りもなく一人だったから、命を懸けて戦うことも何とも思わなかった。しかし今は...

ムヘカルは目を伏せ、ゆっくりと口を開いた。「もういい。私は今年49歳で、30年間潜入捜査を続けてきた。人生で30年なんて、何回あるというんだ?残りの人生は、自分の思うままに生きたい!人民も理解してくれるはずだ!」

「お前...」

倉田隊長は彼の頑なな態度に激怒し、「どうしてこんなに利己的になったんだ?長年外国にいて、彼らに毒されてしまったのか?」

ムヘカルは眉をひそめた。

彼は拳を握りしめ、「倉田隊長、森岡さんは言っていた。引退したいときは引退していいと。それは私の自由だ!もう何も言わないでください。森岡さんに連絡を取ってください!」

「...」

倉田隊長は彼の決意の表情を見て、もう説得は無理だと悟り、深いため息をつくしかなかった。「分かった。すぐに森岡さんを手配して、身分回復の手続きを進めよう!」

倉田隊長は外に向かった。

ドアの前で、ムヘカルは強調した。「2日だ。あと2日待つ。もし森岡さんが来なければ、石山に会いに行く。私の話に、きっと興味を持つはずだ!」

倉田隊長は言葉に詰まり、恨めしそうに頷くしかなかった。「...分かった!」