第593話 子供のこと?

寺田凛奈は仕事に集中すると、海外にいた時によく何日も何晩も連続で働き、その後長時間眠り続けるため、睡眠中の低血糖を防ぐために特別な栄養剤を作っていた。

リリはその栄養剤を彼女の体内に注射するだけで、彼女を起こす必要がなく、一気に72時間、あるいはそれ以上眠り続けることができる。

倉田隊長は呆然として、「こ、こんなことがあり得るのか?」

寺田凛奈は眉を上げ、十分な睡眠が取れていないため、少し荒々しい態度で不機嫌そうに口を開いた。かすれた声で:「監察部はあの日、私が相馬さんに注射した針と注射器を全て回収し、中身の成分も調べて、それが栄養剤だと確認しました。そうでなければ、私と石山がなぜ釈放されたと思います?」

彼らは無罪釈放されたのだ!

さらに、監察部は彼らと協力して芝居を打ったのだ!

寺田洵太が使用した薬物については……

寺田凛奈がその時注射した遺伝子薬剤は全て見せかけで、相馬さんに見せるためのもので、倉田隊長に伝えるためだけだった。

実際の治療に使用したのは、後で塗布した薬物だった!

彼女が三日三晩眠らなかったのは、三原御医から教わったいじゅつに基づいて、骨を回復させる良薬——断骨膏を研究開発していたからだ。

寺田洵太が立ち上がれたのは、完全にその薬のおかげで、実際には薬効はそれほど早く出るものではなかったが、倉田隊長を欺くために協力して、寺田洵太は無理して立ち上がり、わざと歩き回っていた。

今は、また寝たきりになっている。筋を傷め骨を折れば百日かかるものだ。まして彼は骨の再生が必要で、今後しっかりと療養しなければならない。

相馬さんについては……

こめかみを撃たれ、実際にはその日のうちに即死していた。その後生きているように見えたのは全て寺田凛奈が仕組んだ策略だった。

ここに至って、真相が明らかになった。

倉田隊長はその場で逮捕され、監察部の人々に連行された。その後待っているのは裁判と処刑だ。死刑は免れないだろう。あまりにも悪質な犯罪だったからだ。

相馬歩人は父親が本当に亡くなったことを悟り、号泣し、康之たちは自分たちの世界が崩壊したかのような感覚に陥った。

皆がそれぞれ複雑な感情に浸っているとき、突然入江冬月が飛び出してきた。