尋問は正式に始まるのか?
ボディーガードが困惑している間に、寺田凛奈が突然彼の前に現れた。彼女は慵懶な態度で、眉間に少し苛立ちを浮かべながら手を伸ばした……
「あっ……」
鋭い悲鳴が尋問室から漏れ出た。
防音性の高い尋問室でさえ、中からの声を完全に遮ることができないほど、尋問室内の人物の声は大きかった。
外にいる人々は急に緊張し始めた。
千葉と康之は尋問室のドアの前に寄り、心配そうに中を見つめた。「寺田さん?寺田同志?大丈夫ですか?」
しかし中からは悲鳴以外の音は聞こえてこなかった。
千葉は我慢できずに口を開いた。「もしかして、あいつが拘束を解いて寺田さんを人質に取ったんじゃ?」
康之も心配そうな表情を浮かべた。
入江冬月は傍らに立ち、内心冷笑した。黒猫が寺田凛奈に何か教えたと思っていたが、まさか拷問とは。