入江冬月の後ろには倉田健祐と二人のボディーガードが立っていた。
藤本凜人はソファに座り、冷たい表情で、威圧感のある雰囲気を醸し出していた。一瞬、寺田凛奈は揚城で初めて彼に出会った時の印象を思い出した。
このような時だけ、寺田凛奈は彼の高貴な身分を実感する。彼女の前にいない時の彼は、高慢な表情で、近寄りがたい雰囲気を全身から漂わせている。
彼は入江冬月など全く相手にせず、ただ書類を見ながら仕事を処理していた。
倉田健祐が入江冬月に話しかけた。「入江さん、そんな断定的な言い方はよくありませんよ。これまで何年も、私たちの手から何かを隠し通せた人はいません...」
入江冬月は彼を無視し、直接藤本凜人に向かって言った。「藤本さん、私を無視しても無駄ですわ。外の世論を恐れないんですか?もし私が突然消えたら、きっと人殺しの口封じをしたと噂されるでしょうね!」