電話を切ると、寺田凛奈は藤本建吾の頭を撫でて、まだ昼寝をしている寺田芽を見ながら、小声で言い付けた。「芽のことを見ていてね。ゲームばかりさせないように」
藤本建吾は真面目に頷いて答えた。「はい」
寺田凛奈は立ち上がり、着替えをして、そして出かけた。
藤本凜人が車で送っていく。
寺田凛奈は助手席に座り、特殊部門への道中で、ふと入江桂奈のことを思い出し、彼とのチャット履歴を開くと、前回の質問にまだ返信がないことに気付いた。
寺田凛奈は再度尋ねた:【私を妊娠させたのは誰の計画?】
彼女を妊娠させることができ、さらに藤本凜人を気絶させる能力もある人物は、決して単純な存在ではないはずだ。
入江桂奈からすぐには返信がなかった。
寺田凛奈は眉をひそめた。
彼女の様子を察したのか、藤本凜人が突然口を開いた。「何が起きたとしても、あなたには関係ない」