第639章 出手!

谷本蒼樹は電話に出ると、藤本奥様の声が聞こえた。「離婚は済んだの?」

「証明書を受け取りました」

谷本蒼樹は言いながら、振り返って三原伶を見たが、彼女は既に車に乗って去っていた。その様子を見て、彼は怒りが込み上げてきた。

彼からすれば、三原伶が彼から離れる時は、泣きじゃくっているべきなのに、彼女の様子を見ると、まるで離婚を望んでいたかのようだった。

そう考えていると、藤本奥様の言葉が聞こえ、谷本蒼樹は冷笑した。「おばあ様、きっと彼女はまた大げさな話をしているんですよ!ご心配なく!私の体のことは、私が一番分かっています!絶対に問題ありません!それに、春姫にも確認しましたが、子供は間違いなく私のものです!春姫は以前の男性とは全く連絡を取っていないそうですから!」

その春姫は業界でも有名な社交花で、私生活は乱れていた。

藤本奥様は眉をひそめた。「それでも慎重にならないと。病院で検査を受けた方がいいと思うわ。漢方医学を信じないのなら、西洋医学は信じられるでしょう!」

谷本蒼樹はその言葉を聞いて、しばらく黙り込んだ。しばらくしてから「はい、はい、分かりました」と答えた。

電話を切ると、彼は自分の車の方へ歩いていった。

ドアを開けると、助手席には派手な化粧をした女性が座っていた。春姫だった。

春姫は直接尋ねた。「じゃあ、婚姻届を出しに行きましょう?」

谷本蒼樹は元々、三原伶との離婚が成立したらすぐに春姫と結婚するつもりだった。結局、春姫のお腹が大きくなってからでは見栄えが悪いからだ。

しかし、先ほどの藤本奥様の言葉を思い出し、急ぐ必要はないと感じた。彼は春姫にキスをして言った。「何を急ぐことがあるんだ?妊娠四ヶ月で羊水検査ができるだろう?その時にDNA鑑定をして、それから婚姻届を出そう。急ぎたいなら、先に結婚式を挙げることもできるよ」

DNA鑑定?

春姫の目が一瞬揺らいだ。そして口を開いた。「そう、谷本蒼樹、私を信用していないのね?信用していないのに、なぜ結婚しようとするの?!それならもう、今すぐ堕ろしてやるわ!この子はもういらない!生まれる前から父親に疑われるなんて!私の子の運命はなんてひどいの!」