第628話 誰の問題!

寺田凛奈は谷本奥様を見つめ、直接答えた。「彼女の体には何の問題もありません」

谷本奥様は一瞬戸惑い、このような答えが返ってくるとは思わなかったので、再度尋ねた。「問題がないとはどういうこと?問題がないのなら、なぜずっと子供を授かれないの?」

寺田凛奈は三原伶の方を向き、直接尋ねた。「あなたの家系は、子宝に恵まれる家系なのでしょう」

三原伶はその言葉を聞いて、谷本奥様を一瞥してから、頷いた。

谷本奥様は冷ややかに笑った。「最初から彼女の家系が子宝に恵まれているから、彼女を嫁に選んだのよ!彼女の姉は三年で六人も産んだわ。毎回三つ子よ!次女に至っては、三つ子と四つ子を産んだのよ!私たちはそこまで期待してないわ。せめて一人でも産めばいいのに。三年経っても影も形もない!本当に役立たずね!あなたが家系の突然変異なのかしら?」

谷本奥様は本当に焦っていた。

三原伶を嫁に迎えた時は、三年で六人の孫を抱けると思い、完璧だと考えていた。また、家の三代続く一人っ子の呪いも破れると思っていた。

そのため結婚当初は、三原伶に対して細やかな気遣いをし、姑と嫁は半年間実に仲睦まじく過ごした。

しかし半年が経っても三原伶の腹に動きがなく、態度は一変し、催促を始め、様々な民間療法を試させた。

三原伶は叱責され、うつむいた。

自分がどうしてなのか分からなかった。なぜ妊娠できないのか。

多くの医者に診てもらい、たくさんの薬を飲み、様々な方法を試したが、効果はなかった。

今では体外受精も試し始めていた。

しかし体外受精は苦痛が大きかった。

毎月排卵注射を打たなければならない……

そう考えていると、寺田凛奈が口を開いた。「谷本奥様、子作りは二人の問題です。彼女だけの問題ではありません」

この言葉に、谷本奥様は呆然とした。

少し考えてから急に理解し、驚いて言った。「あ、あなた何を言うの?私の息子に問題があるって疑っているの?」

三原伶も急に顔を上げた。

彼女は唇を噛んだ。

実は、この数年間で何度もこの問題を提起したが、谷本奥様はいつも彼女を嘲笑い、話を遮った。「私の息子に問題なんかないわ。自分が子供を産めないくせに、男のせいにするの?はっ、彼は精子を提供するだけよ、絶対にあなたの問題よ!」