第627話 誰の問題？

寺田凛奈は眉をひそめた。「谷本奥様、子供のことは縁ですから、焦ってはいけません。結婚してまだ3年ですよ。10年経ってから妊娠する夫婦だっているんです。それはごく普通のことです」

「普通なんかじゃありません！どうして凜人はあなたと一度で双子を授かったの？他の女性とも一度で子供ができたのに……寺田さん、あなたはこれ以上子供を作りたくない、建吾に負担をかけたくないのでしょう？凜人にもう一人息子を持たせたくないんでしょう？でも、あなたは私たちの家のことを分かっていない。うちは代々一人っ子で、跡継ぎが必要なんです」

谷本奥様は目を転がし、高慢な口調で続けた。「それに、寺田さん、凜人が外で子供を作ったことを気にしないでください。藤本家のこれだけの事業を、建吾一人に任せるわけにはいきません。外の子供も自分の子供として育てるべきです！女は度量が広くなければいけません。泣き叫んで、男の足かせになってはいけないのよ、分かる？」

寺田凛奈：？？

彼女は冷笑を漏らしそうになった。

なんというおかしな考え方？

谷本奥様は寺田凛奈に言い終わると、今度は三原伶に向かって話し始めた。「あなたもよ、自分で産めないなら、うちの息子が他の人と子供を作るのを邪魔しないでちょうだい。離婚するわけじゃないんだから、外の女たちは正式な谷本夫人じゃないのよ！谷本家には一人しか嫁がいないんだから、毎日やきもちを焼いてばかりじゃダメよ。分かる？女は、そんな近視眼的であってはいけません。谷本家の血筋が途絶えたら、あなたも年を取ったときに面倒を見てくれる人がいなくなるわよ！」

三原伶は指を握りしめ、怒りで体全体が震えていた。

寺田凛奈は目を伏せ、ゆっくりと口を開いた。「へぇ？谷本奥様は息子を何人お育てになったんですか？」

谷本奥様は言葉に詰まり、それから答えた。「うちは代々一人っ子だから、もちろん一人よ！」

寺田凛奈はちっと舌打ちをした。「谷本奥様、あなたこそ近視眼的ですね。谷本家は大きな家業なのに、谷本さんお一人に任せるなんてどうしてですか？なぜ、ご主人が若かった頃に、他の女性とたくさんお子さんを作らせなかったんですか？そして自分の子供として育てればよかったのに！女は、やきもちを焼いてはいけないんですよね？」

谷本奥様：？？？