彼女の言葉を聞いて、藤本凜人は突然口を開いた。「最近、和夜が本当に僕たちの息子のように思えてきたよ」
寺田凛奈は一瞬驚いて「どういうこと?」
藤本凜人は急に笑った。「昨夜早く寝たのに、今まで起きてこない。いつも寝足りない様子で、君の遺伝じゃないのか?」
「……」
寺田凛奈は口角を引きつらせた。
二階の寝室で。
入江和夜は実は既に目が覚めていて、カーテンの後ろの窓際に隠れて下を見ていた。
芽が藤本凜人に抱き上げられた瞬間、彼の鼻が酸っぱくなり、一瞬、芽を投げ飛ばしたい衝動に駆られた。
でも、これがネットで知り合った友達の寺田芽と藤本建吾かもしれないと思うと、その衝動を必死に抑えた。
寺田芽と藤本建吾は、あの女が産んだ子供なのだ。
四人で一緒にいるのが本当の家族で、入江和夜は余計者だ。
だから、この賑やかな場には加わるつもりはない。
ふん。
入江和夜はプライドを保ちながら二階に隠れ続け、目を閉じて寝たふりを続けた。
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入江和夜が寝ているので、四人がリビングに入ると、寺田凛奈はソファに座り、目を閉じて休憩することにした。
寺田芽は藤本凜人に抱きついたまま、自分のスマホでランクを見せた。「パパ、見て!私、もうキングの百星になったの!すごいでしょ!」
藤本凜人は頷いた。「そうだね、芽は一番すごいよ」
寺田芽は褒められて嬉しそうに笑った。
隣の藤本建吾は思わずため息をついた。「足を差し出しても、いい匂いがすると言うに決まってる」
寺田芽:?
彼女は不服そうに言い返した。「でも私の足は本当にいい匂いがするもん!」
お姫様の足が臭いわけないじゃない!
藤本建吾:「……」
しばらく他愛もない会話を交わした後、藤本凜人が寺田凛奈を二階に招いて、結婚後の主寝室を選ぼうとした時。
玄関から足音が聞こえ、藤本奥様が執事に支えられながら、よろよろと入ってきた。
彼女は入るなり寺田凛奈に視線を向け、こう言った。「建吾が帰ってきたと聞いて見に来たのよ。まあ、寺田さんもいらしたのね!」
寺田凛奈は目を開け、眉を上げただけで、相手にしなかった。
藤本奥様は藤本建吾の前に歩み寄った。「建吾、曾祖母に見せてごらん。痩せなかった?この間はどうだった?体調は?ご飯はちゃんと食べられた?寺田家で虐められなかった?」