寺田凛奈は眉を上げ、三原伶が拳を握りしめ、不機嫌な声で尋ねるのを見た。「何しに来たの?」
春姫が近づいてきて、ため息をつきながら言った。「もちろん、プレゼントを持ってきたのよ」
そう言って、手に持っていたプレゼントの箱を差し出した。「これは蒼樹さんが私に買ってくれたバッグなの。あなたに似合いそうだから、あげるわ……」
谷本蒼樹が彼女に買ったバッグ……
結婚して三年、谷本蒼樹は自分には一度もプレゼントを買ってくれなかったのに!
三原伶はますます怒りを覚え、胸が痛くなってきた。
彼女の三年間の結婚生活は、結局何だったのか?!
彼女は胸に手を当て、一歩後ずさりした。
三原璃が彼女の前に立ちはだかった。「申し訳ないけど、ここであなたは歓迎されていないわ」
春姫はため息をついた。「璃姉さん、私たち昔は親友同士だったでしょう。この界隈の人間なんてこれっぽっちしかいないのに。離婚したからって、三原家は本当に谷本家と敵対するつもりなの?今日ここに誕生パーティーに来ている人たちも、私たち二つの家が敵対するのを見たくないはずよ!」
周りの人々は一斉に気まずい表情を浮かべた。
富樫家の面子があるから皆来てくれたけど、もし谷本家と対立することになれば、それは誰も望まないことだった。
春姫のこの一言で、その場にいる人々は立場を選ばされることになり、まるで今後谷本家と敵対するよう強要されているようだった。
実は谷本家自体は怖くないが、怖いのは藤本家だった!
人々は一斉に寺田凛奈を見つめ、そして春姫を見た。
寺田凛奈は藤本家の未来の当主夫人だが、春姫は谷本家の人間で、谷本家は藤本奥様の実家だった。
藤本奥様が谷本家が侮辱されるのを黙って見ているはずがない?
人々は一時的に困惑し始めた。こんなことになるなら、何か言い訳をして来なければよかった!
三原璃は皆の心中を理解していた。ただ彼女の面子を立てに来ただけで、離婚という事態があまりにも醜くならないようにと、皆が善意で来てくれたのだ。彼女は会場に来てくれた人たちを不愉快な思いで帰らせるわけにはいかなかった。